ブログ

  • シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-魯迅「狂人日記」3

    12 黑漆漆的,不知是日是夜。赵家的狗又叫起来了。狮子似的凶心,兔子的怯弱,狐狸的狡猾。
    13 他们大家连洛,布满了罗网,逼我自戕。自己紧紧勒死。要劝转吃人的人,先从大哥下手。
    14 忽然来了一个人,年纪不过二十左右。我便问他,吃人的事,对么?含含糊糊的答道,没有的事。他便变了脸,铁一般青,睁着眼说,也许有的,这是从来如此。
    15 我直跳起来,这人便不见了。全身出了一大片汗。他也是一伙。这一定是他娘老子先教的。还怕已经教给他儿子了,所以连小孩子,也都恶狼狼的看我。
    16 自己想吃人,又怕被别人吃了,都用着疑心极深的眼光,画画相觑。
    17 去了这心思,何等舒服。他们可是互相劝勉,互相牵掣,死也不肯跨过这一步。
    18 我格外和气的对大哥说。“大约当初野蛮的人,都吃过一点人。后来因为心思不同,有的不吃人了,变了真的人。有的却还吃。他们要吃我,也会吃你。但只要转一步,也就人人太平。我们说是不能!”
    19 他眼光便凶狼起来,那就满脸都变成青色了。大门外立着一伙人。这时候,大哥也忽然高声喝到,“都出去,疯子有什么好看!”
    20 预备下一个疯子的名目罩上我。这是他们的老谱。“你们可以改了。要晓得将来容不得吃人的人,活在世上。即使生得多,也会给真的人除灭。”
    21 我回屋子里去。屋里面全是黑沉沉的。横梁和椽子都在头上发抖,堆在我身上。 万分沉重,动弹不得。他的意思是要我死。
    22 我晓得他的沉重是假的,便挣扎出来,出了一身汗。你们立刻改了,从真心改起.你们要晓得将来是容不得吃人的人。
    23 那时我妹子才五岁,可爱的样子,还在眼前。妹子是被大哥吃了。他却劝母亲不要哭。大哥说爷娘生病,做儿子的须割下一片肉来,煮熟了请他吃,才算好人。但是那天的哭法,实在还教人伤心。
    24 大哥正管着家务,妹子恰恰死了。我未必无意之中,不吃了我妹子的几片肉。
    25 有了四千年吃人履历的我。现在明白,难见真的人!
    26 没有吃过人的孩子,或者还有?救救孩子。

    花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-魯迅『狂人日記』」より

  • シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-魯迅「狂人日記」2

    1 今天晚上,很好的月光。我不见他,已是三十多年,今天见了,精神分外爽快。那赵家的狗,何以看我两眼呢?我怕得有理。
    2 赵贵翁的眼色便怪,似乎怕我, 似乎想害我。还有七八个人,又怕我看见。一路上的人,都是如此。其中最凶的一个人,对我笑了一笑。我便从头直冷到脚跟晓得他们布置,都已妥当了。
    3 小孩子的眼色也同赵贵翁一样。廿年以前,把古久先生的陈年流水簿子,踹了一脚。赵贵翁虽然不认识他,一定也听到风声,代抱不平。小孩子,何以今天也睁着怪眼睛。我明白了。这是他们娘老子教的。
    4 昨天街上的那个女人,打他儿子。他眼睛却看着我。我出了一惊,遮掩不住。
    5 陈老五硬把我拖回家中了。家里的人的脸色,也全同别人一样。
    6 狼子村的一个大恶人,给大家打死了。几个人便挖出他的心肝来,用油煎炒了吃。我插了一句嘴,佃户和大哥便都看我几眼。他们的眼光,全同外面的那伙人一抹一样。想起来,我从顶上直冷到脚跟。他们会吃人,就未必不会吃我。我看出他们的暗号。他话中全是毒,笑中全是刀。他们的牙齿是吃人的家伙。
    7 照我自己想,虽然不是恶人。况且他们一翻睑,便说人是恶人。我还记得大哥教我做论,无论怎么好人,翻他几句,他便打上几个圈,原谅坏人几句,他便说,翻天妙手,与众不同。
    8 满本都写着两个字是吃人。佃户都笑吟吟的睁着怪眼睛看我。他们想要吃我了。
    9 大哥说,今天请何先生来。无非借了看脉这名目,揣一揣肥瘠。静静的养几天,就好了。养肥了,他们是自然可以多吃。 真要令我笑死。这笑声里面,有的是义勇和正气,老头子和大哥,都是失了色。
    10 老头子对大哥说道,赶紧吃罢。合伙吃我的人,便是我的哥哥。大发见。我是吃人的人的兄弟!
    11 医生和大哥是吃人的人。本草什么上明明写人肉可以煎吃。大哥说过可以易子而食,又议论起一个不好的人,他便说不但该杀,还当食肉寝皮。前天狼子村的佃户来说吃心肝的事,他不住的点头。

    花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-魯迅『狂人日記』」より

  • シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-魯迅「狂人日記」1

    1 論文の方向性- Lのストーリー

     シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることを現状のレベルでまとめている。今後、統計処理など研究の技葉がさらに増えていくように日々精進していきたい。この小論では魯迅(1881-1936)の「狂人日記」が題材になる。
     私のテキストの分析は、シナジーのメタファーを考察することである。最初に受容と共生からなるLのストーリーを作成し、次にそれが反映されているリレーショナルなデータベースについて分析していく。基本的に、「阿Q正伝」(1922) と同じ方法で、「狂人日記」(1918) について見ていくことにする。すでに魯迅の執筆脳はカオスとして、「魯迅とカオス」というシナジーのメタファーを作成している。「狂人日記」と「阿Q正伝」は、ともにカオスの特徴といえる非線形性と初期値敏感性が取れているためである。(花村 2015)

    花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-魯迅『狂人日記』」より

  • ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”で執筆脳を考える9

    5 まとめ  
     
     受容の読みによる「安心と忍耐」という出力は、すぐに共生の読みの入力となる。続けて、データベースの問題解決の場面を考察すると、「葛藤と洞察」という人間の脳の活動と結びつき、その後、信号のフォーカスは、購読脳の出力のポジションに戻る。この分析を繰り返すことにより、「ヘルマン・ヘッセと葛藤」というシナジーのメタファーが見えてくる。なお、ヘッセは、1946年にノーベル賞を受賞している。
     この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人60人対40人、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。 

    参考文献

    日本成人病予防協会監修 健康管理士一般指導員受験対策講座3 心の健康管理 ヘルスケア出版 2014
    花村嘉英 計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
    花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015 
    花村嘉英 日语教育计划书-面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 東南大学出版社 2017
    花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁/戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
    花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方-トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 2018  
    花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日语教学研究会上海分会論文集 華東理工大学出版社 2019 
    花村嘉英 社会学の観点からマクロの文学を考察する-危機管理者としての作家に中国日语教学研究会上海分会論文集 2020
    藤本淳雄他 ドイツ文学史 東京大学出版会 1981
    佐藤晃一 ドイツ文学史 明治書院 1979
    手塚富雄 ドイツ文学案内 岩波文庫 1981
    ヘルマン・ヘッセ Wikipedia 
    Hermann Hesse Schön ist die Jugend  Fischer 1985
    Kurt Rothmann Kleine Geschichte der deutschen Literatur Reclam 1981
    Schön ist die Jugend Wikipedia 

  • ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”で執筆脳を考える8

    A 情報の認知1は③その他の反応、情報の認知2は②新情報、情報の認知3は②問題未解決から推論へ、人工知能は①葛藤である。 
    B 情報の認知1は②グループ化、情報の認知2は②新情報、情報の認知3は②問題未解決から推論へ、人工知能は②洞察である。
    C 情報の認知1は②グループ化、情報の認知2は①旧情報、情報の認知3は①計画から問題解決へ、人工知能は②洞察である。
    D 情報の認知1は②グループ化、情報の認知2は②新情報、情報の認知3は②問題未解決から推論へ、人工知能は②洞察である。 
    E 情報の認知1は③その他の反応、情報の認知2は②新情報、情報の認知3は②問題未解決から推論へ、人工知能は②洞察である。
       
    結果
     言語の認知の出力「安心と忍耐」が情報の認知の入力となり、まず何かに反応する。次に、その反応が情報の認知で新情報となり、結局、この場面では、一旦は問題解決に至るため、「安心と忍耐」が「葛藤と洞察」からなる組みと相互に作用する。
     記憶については、A、B、C、D、Eすべてが長期記憶になる。この場面では作者の不眠について父に相談することで精神症状と相互に作用するため、ヘッセの執筆脳は、葛藤に特徴があることになる。

     なお、横にスライドする際、間間に新しいカラムを立てることで信号を増やすことができる。結果がより詳細になることも期待できる。試してもらいたい。 

    花村嘉英(2020)「ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”の執筆脳について」より

  • ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”で執筆脳を考える7

    【連想分析2】

    表3 情報の認知 

    A 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1、人工知能 1
    B 表2と同じ。情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能 2
    C 表2と同じ。情報の認知1 2、情報の認知2 1、情報の認知3 1、人工知能 2
    D 表2と同じ。情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能 2
    E 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能 2

    分析例
    (1)“Schön ist die Jugend”執筆時のヘッセの脳の活動を「葛藤と洞察」という組からなると考えている。彼の文体が内面の葛藤を表現できるようなことばを開示するためである。
    (2)情報の認知1(感覚情報)
    感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、①ベースとプロファイル、②グループ化、③その他の反応である。
    (3)情報の認知2(記憶と学習)
    外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。また、未知の情報はカテゴリー化されて、経験を通した学習につながる。このプロセルのカラムの特徴は、①旧情報、②新情報である。
    (4)情報の認知3(計画、問題解決)  
    受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、①計画から問題解決へ、②問題未解決から推論へ、である。  
    (5)人工知能1 執筆脳を「葛藤と洞察」としているため、母の半生と感情の表出が重要となり、そこに専門家としての調節が効力を発揮する。①記憶、②感情、③その他

    花村嘉英(2020)「ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”の執筆脳について」より

  • ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”で執筆脳を考える6

    分析例

    (1)不眠について父に相談する場面。
    (2)文法2テンスとアスペクト、1は現在形、2は過去形、3は未来形、4は現在進行形、5は現在完了形、6は過去進行形、7は過去完了形。 
    (3)意味1 1視覚、2聴覚、3味覚、4嗅覚、5触覚、意味2 喜怒哀楽、意味3 洞察 1あり2なし、意味4 振舞いの1直示と2隠喩。

    テキスト共生の公式

    (1)言語の認知による購読脳の組み合わせを「安心と忍耐」にする。不眠について父に相談する。良いことを考えれば、我慢できるという。 
    (2)文法2のテンスとアスペクトや意味1の五感には、一応ダイナミズムがある。また、連想分析1の各行の「安心と忍耐」を次のように特定する。
     
    A安心と忍耐=テンスは現在形、視覚、哀、洞察なし、隠喩。 
    B安心と忍耐=テンスは現在形+過去形、触覚、哀、洞察あり、直示。
    C安心と忍耐=テンスは現在形+過去形、視覚、哀、洞察あり、直示。
    D安心と忍耐=テンスは過去形、視覚、楽、洞察あり、直示。  
    E安心と忍耐=テンスは過去形、視覚、哀、洞察あり、直示。
     
    結果 上記場面は、「安心と忍耐」という購読脳の条件を満たしている。

    花村嘉英(2020)「ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”の執筆脳について」より

  • ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”で執筆脳を考える5

    【連想分析1】

    表2 言語の認知(文法と意味) 不眠について父に相談する場面

    A Wie die Umstände lagen, konnte bei meiner leichtlebigen Jugend die Trauer nicht gar lange anhalten. Doch war ich mehrere Tage für keine Lustbarkeit zu haben, lief einsame Wege durch die Wälder, lag lange gedankenlos traurig im Hause herum und phantasierte abends bei geschlossenen Fenstern auf der Geige.
    文法2 1、意味1 1、意味2 3、意味3 2、意味4 1

    B „Fehlt dir etwas, mein Junge?“ sagte mein Papa zu mir und legte mir die Hand auf die Schulter. „Ich habe schlecht geschlafen“, antwortete ich, ohne zu lügen. Mehr brachte ich nicht heraus. Er aber sagte nun etwas, das mir später oft wieder einfiel. 文法2 1+2、意味1 5、意味2 3、意味3 1、意味4 1

    C „Eine schlaflose Nacht“, sagte er, “ist immer eine lästige Sache. Aber sie ist erträglich, wenn man gute Gedanken hat. Wenn man daliegt und nicht schläft, ist man leicht ärgerlich und denkt an ärgerliche Dinge. Aber man kann auch seinen Willen brauchen und Gutes denken.“ „Kann man? Fragte ich. Denn ich hatte in den letzten Jahren am Vorhandensein des freien Willens zu weifeln begonnen. „Ja, man kann“, sagte mein Vater nachdrücklich. 文法2 1+2、意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1

    D Die Stunde, in der ich nach mehreren schweigsamen und bitteren Tagen zuerst wieder mich und mein Leid vergaß, mit andern lebte und froh war, ist mir noch deutlich in Erinnerung. Wir saß alle im Wohnyimmer beim Nachmittagskaffee, nur Fritz fehlte. Die andern waren munter und gesprächig, ich aber hielt den Mund und nahm nicht teil, obwohl ich im geheimen schon wieder ein Bedrürfnis nach Rede und Verkehr spürte.
    文法2 2、意味1 1、意味2 4、意味3 1、意味4 1

    E Wie es jungen Leuten geht, hatte ich meine Schmery mit einer Schutzmauer von Schweigen und abwehrendem Trotz umgeben, die andern hatten mich nach dem guten Brauch unseres Hauses in Ruhe gelassen und meine sichtbare Verstimmung respektiert, und nun fand ich den Entschluß nicht, meine Mauer einzureißen, und spielte, was eben noch echt undt notwendig gewesen war, als eine Rolle weiter, mich selber langweilend und auch beschämt über die kurze Dauer meiner Kasteiung.
    文法2 2、意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1

    花村嘉英(2020)「ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”の執筆脳について」より

  • ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”で執筆脳を考える4

    3 データベースの作成・分析

     データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
     こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容は、それぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。しかし、共生は、作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。 

    【データベースの作成】

    表1 “Schön ist die Jugend”のデータベースのカラム
    文法1 態 能動、受動、使役。
    文法2 時制、相 現在、過去、未来、進行形、完了形。
    文法3 様相 可能、推量、義務、必然。
    意味1 五感 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
    意味2 喜怒哀楽 喜怒哀楽。
    意味3 洞察 あり、なし。
    意味4 振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
    医学情報 病跡学との接点 受容と共生の共有点。構文や意味の解析から得た組「安心と忍耐」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。
    記憶 短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述) 作品から読み取れる記憶を拾う。長期記憶は陳述と非陳述に分類される。
    情報の認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化またはその他の反応。
    情報の認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報は、学習につながるためカテゴリー化する。記憶の型として、短期、作業記憶、長期を考える。
    情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
    人工知能 葛藤と洞察 エキスパートシステム 精神内部で異なる方向の力同士が衝突している状態。およびよく見通すこと。

    花村嘉英(2020)「ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”の執筆脳について」より

  • ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”で執筆脳を考える3

     ユングの心理学については、魯迅の「阿Q正伝」を分析した際に、説明したことがある。(花村2015)ユングは、忘却や抑圧といった個人的無意識により意識されなくなった知覚に対して、個人を超越した普遍的な集合的無意識を提唱した。ユングの心理学は、人間の中にある心象を意識と関連づけることにより、人格全体を回復させようとする。つまり、「秩序」-「無秩序」-「より高次の秩序」という過程で人間の心をとらえていく。エゴ(自我)には一定の秩序があるため、そこに意識が生まれ、その周囲に無秩序状態の無意識があり、それらが統合されてより高次の秩序セルフ(自己)が生まれる。
     自身の運命を見出し自分の中でそれを生かしきる自己発見は、ヘッセの小説においてメインテーマであった。シュバーベンの敬虔主義の精神で育ったヘッセは、Rothmann(1981)によると、総じて敬虔な環境に固執するより改宗することで身を守り、マオルブロン修道院でプロテスタントの神学セミナーから逃亡したにもかかわらず、敬虔主義による内面への道に留まることで、宗教的な衝動から自叙伝風の精神の記録を書いた。
     文学との関係が崩れたヘッセは、試験的にことばによる手法を用いた。美学的な名誉心を捨てて詩作をせず、まさに告白をした。彼の告白は、わかりやすい宗教のような人生哲学を持っており、様々な再生復活の体験となった。
     “Schön ist die Jugend”の購読脳は「安心と忍耐」とし、精神分析の治療の中で患者が抱えている心理的葛藤や性格または考え方の偏りについて、患者自身の洞察により人格構造を変化させたため、執筆脳を「葛藤と洞察」にする。そこでこの小論のシナジーのメタファーは、「ヘッセと葛藤」になる。

    花村嘉英(2020)「ヘルマン・ヘッセの“Schön ist die Jugend”の執筆脳について」より