投稿者: info@hana123.girly.jp

  • Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察11

    R15、R16 時制に関する規則

     それぞれの統語操作は、σ3(x)=「Perf(x)」、σ4(x)=「Fut(x)」である。
    R15:Satz → Satz
    ÜR15:Perf(s)=Perf(s)
    R16:Satz → Satz
    ÜR16:Fut(s)=Fut(s)

    R17 関係節に関する規則

     統語操作は、σ5, n(x, y)=「(x, so daß n y)」

    R17:Subst oder N, Satz → Subst
    ÜR17:(S1, so daß n S2)={x|x ∈ S1 ⋀ x ∈ [xn|S2] }S1 ∈Subst, N S2 ∈Satz

    R18、R19、R20 量化に関する規則

     対応する統語操作は、σ6, n(x, y)= 「(x)(er n: y)」 
    R18は、従属文の人称代名詞と主文の人称代名詞の関係(Satz、N → Satz)を、R19は、非指示的な動詞のde-re読み(V、N → V)を、R20は、関係節をともなう名詞句の量化(Subst、N → V)を規定する。

    ÜR18:(S1)(er n:S2)=[xn|S1] ∈S2、S1 ∈ Satz、S2 ∈ N
    ÜR19:(S1)(er n:S2)={x|[xn|x∈S1] ∈S2}、S1∈V、S2 ∈ N
    ÜR20:(S1)(er n:S2)={x|[xn|x∈S1] ∈S2}、S1∈Subst、S2 ∈ N

    花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より

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    R6、R8 副詞に関する規則
     
     R6は述語(Adv, V → V)を、R8は文(AdSatz, Satz →Satz)を修飾する副詞の規則である。

    ÜR6  S1(S2)=S1(in(S2))、S1 ∈ Adv、S2 ∈ V
    ÜR8  S1(S2)=S1(in(S2))、S1 ∈ AdvSatz、S2 ∈Satz

     尚、「nicht」、「notwendig」は、それらが論理的構造を示すことから、ÜR3として次のように規定されている。

    ÜR3 nicht ={P|~ex(p)}
       notwendig ={P|□ex(p)}

    R7 前置詞に関する規則

    ÜR7  S1(S2)=S1(in(S2))、S1 ∈ Präp、S2 ∈ N

    R9、R10、R11 連言に関する規則

     連言規則に対応する統語操作は、σ1(x,y)= df「(x=y)」である。R9は文(Satz、Satz → Satz)、R10は動詞(句)(V、V → V)、R11は名詞(句)(N、N → N)を接続する規則である。

    ÜR9(S1 und S2)= (S1 ⋀ S2)S1、S2 ∈ Satz
    ÜR10(S1 und S2)={x|x ∈S1 ⋀ x ∈S2}S1、S2 ∈ V
    ÜR11(S1 und S2)={p|p ∈S1 ⋀ p ∈S2}S1、S2 ∈ N oder Subst

    R12、R13、R14 選言に関する規則

     選言規則に対応する統語操作は、次の通りである。σ2(x、y)=「(x oder y)」
     R12、R13、R14及びそれぞれの翻訳規則は、連言に関する規則と平行に考えられている。

    花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より

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    R3、R4、R5 他動詞に関する規則

     R3は名詞(TrVn, N od. Subst → V)を、R4はdaß文(TrVSatz, Satz → V)を、R5はzu不定詞句(TrVv, V → V)を従える規則である。

    (3) Heinrich findet eine Hexe. 1
         △
     Heinrich  finden eine Hexe 3
          △
       finden eine Hexe 2
      △
     ein Hexe

    ÜR3 S1(S2)= S1(in(S2))、S1 ∈ TrVn、S2 ∈ N, Subst

    翻訳
    1 in(finden(ein(Hexe)))∈ Heinrich ÜB1
    2 in(finden(ein(Hexe)))∈ {P|in (Heinrich) ∈ P} ÜB1
    3 in(Heinrich)∈ finden (in (ein (Hexe))) ÜB3
    4 in(Heinrich)∈ finden (in (PQ|∃x(x ∈ P ⋀ x ∈ Q))(Hexe)ÜB4

     尚、能動と受容(werden)の間に意味上の際が生じない他動詞に対して(変わるもの、例、erwarten)、次の定義が設けられている。
    D1 ∀x∀P(x ∈ T(P) [y|x ∈ T([[y]]) ∈ P)

    5 ∃x(x ∈ Heinrich ⋀ in(Heinrich)∈ finden([[y]])

    花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より

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    R1 主語と述語(N, V→Satz)に関する規則

    (1) Heinrich lächelt. (1)を翻訳する際、必要な規則はÜ R1とÜB1である。
    ÜR1 S1(S2)= df S1(in(S2))= in(S2)∈S1、S1∈N、S2∈V
    ÜB1 固有名詞、代名詞に関する規則
     Heinrich= df{p|in (Heinrich)∈ P}={[in(Hainrich)]}
     Er(n)= df{p|x(n) ∈ P}

    翻訳
    1 in(lächeln)∈ Heinrich  ÜR1
    2 in(lächeln)∈{p|in(Heinrich)∈P} ÜR1
    3 in(Heinrich)∈ in(lächeln)挿入規則
    4 in(Heinrich)∈ lächeln 上下打消し(内包と外延の関係から)

    R2 冠詞(Art、Subst → N)に関する規則

    (2) Jede Hexe seufzt. (2)はの翻訳には、ÜR2、ÜB4が必要となる。
    ÜR2 S1(S2)= S1(in(S2))、S1∈Art、S2∈Subst
    ÜB1 jeder ={PQ|∀x(x ∈ P → x ∈ Q)}
    ein = PQ|∃x(x ∈ P ⋀ x ∈ Q)}
    kein ={PQ|~∃x(x ∈ P⋀ x ∈ Q)}
    der ={PQ|∃x(ex(P)={x}⋀ x ∈ Q}

    翻訳
    1 in(seufzen)∈ jeder(Hexe)ÜR1
    2 in(seufzen)∈ jeder(in(Hexe))ÜR2
    3 in(seufzen)∈{PQ|∀x(x ∈P→x ∈ Q)}ÜB4
    4 in(seufzen)∈{P|∀x(x ∈ in(Hexe)→x ∈ P)}挿入規則
    5 in(seufzen)∈{P|∀x(x ∈ Hexe → x ∈ P)}上下打消し
    6 ∀x(x ∈ Hexe → x ∈ seufzen)挿入規則、上下打消し

    花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より

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    2.3 ドイツ語の統語規則及び翻訳規則

     Löbner(1976)は、20通りの統語規則を提示している。PTQにおけるS1(語彙装入規則)を削除する代わりに、論理的な分析が可能な語彙には、基本翻訳規則(Basisübersetzung:以下ÜBと略記)が設定されている。尚、統語規則(R)と翻訳規則(ÜR)とを便宜上並行して示す。しかし、必要に応じて用いる例文は、上記基本表現から構成されたものである。本稿の性質からして、例文は、動詞の範疇(VTr、VnTr、Vsatz、TrVv)に関連している。 
     また、その派生過程を示す分析樹は、分析樹の代わりに派生過程の連鎖がカッコで表示されている(Löbner 1976)。例えば、Heinrich(sagen(Melanie(erwarten(kein(Geld)))))。これは、従来の句構造標識(P-marker)とは異なり、自然言語(即ち表層)に見られる構造上、意味上の曖昧性を取り去る働きをする。 
     UGの規定に従えば、分析樹の表示は、L=<DL、R>におけるDLに対応している。ここで、Lは自然言語、DLは曖昧性のない言語、Rは両者を取り持つ関数である。そのため、統語規則の番号が付与されている。 
     統語規則R1からR8に対応する統語操作は、σ0(x, y)=df「x(y)」である。こうして翻訳される有意表現が、ILの意味規則により解釈され、その指示対象を得る。

    花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より

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    2.2.3 ILの意味論

    2.2.3.1 意味解釈モデル

     最終的に複合表現が対応づけられる指示対象とは、Designat = REF x意味規則。ここでREF(Referenzpunkt)は、REF = 個体(E)x タイプ(T)x 可能世界x 時点(z)。尚、Löbnerは、個体x タイプをコンテキストとし、REF = K x W x Z(kwz)と書く。但し、時点間には「<」という順序関係がある。

    2.2.3.2 意味規則

     ILの統語規則に対応する意味規則とは、次のように規定されている。これらの規則と上述のREFにより最終的に複合表現は、指示対象に対応づけられる。但し、S1→B1、S2→B2である。

    B1 定項に関する規則 
     kwz-bed(Cnτ)=k’wz-bed(Cnτ)k’∈Kont

    B2 変項に関する規則 
     kwz-bed(Vnτ)=k(n, τ)

     B1、B2は、定項、変項の外延を定める規則であり、B1は、指標<w, z>に依存するが、B2は、依存しない。

    B3 挿入規則
     kwz-bed(「S1(S2)」)=kwz-bed(S1)(kwz-bed(S2))
     
    B4 等値規則
     kwz-bed(S1)=kwz-bed(S2)の時、そしてその時に限り、kwz-bed(「S1=S2」)は真。

    B5 論理記号に関する規則
     kwz-bed(S)が偽の時、そしてその時に限り、kwz-bed(「~S」)は真。
     kwz-bed(S1)もkwz-bed(S2)も真の時、そしてその時に限り、kwz-bed  (「S1⋀ S2」)は真。
     kwz-bed(S1)もkwz-bed(S2)も偽の時、そしてその時に限り、kwz-bed(「S1⋁S2」)は偽。
     kwz-bed(S1)が偽かkwz-bed(S2)が真ならば、その時に限り、kwz-bed(「S1→S2」)は真。
     kwz-bed(S1)=kwz-bed(S2)ならば、その時に限り、kwz-bed(「S1S2」)は真。

    B6 普遍、存在限量子に関する規則
     すべてのx∈DESτに対して、k(nτx)wz-bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz-bed(「∀Vnτ(S)」)は真。但し、k(nx(n)) =df k(m) n≠m。

     少なくとも一つのx∈DESτに対して、k(nτx)wz-bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz-bed(「∃Vnτ(S)」)は真。

    B7 λ演算子に関する規則
     kwz-bed(「λVnτ(S)」)の真偽は、次の関数により決まる。
     f:x→k(nτx)wz-bed(S)。但し、あらゆるx ∈ DESτに対して適応される。

    B8 内包、外延演算子に関する規則
     内kwz-bed(「in(S)」)=kwz-bed(S)
     外kwz-bed(「ex(S)」)=kwz-bed(S)(w, z)

    B9 様相、時制演算子に関する規則
     すべてのw’、z’に対して、k w’ z’ -bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz-bed(「□(S)」)は真。
     あるz’> zに対して、kwz’ -bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz-bed(「Fut(S)」)は真。
     あるz’> zに対して、kwz’ -bed(S)が真の時、そしてその時に限り、kwz-bed(「Perf(S)」)は真。

    花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より

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    2.2.2 ILの統語規則

     ILのそれぞれのタイプの基本記号から構成された有意表現を生成する統語規則とは、次のように規定されている。

    S1 それぞれのタイプτに対して抵抗は無限に存在する。
     C0τ, C1τ, C2τ,・・・∈Katτ

    S2 それぞれのタイプτに対して変更は無限に存在する。
     V0τ, V1τ, V2τ,・・・∈Katτ
     S1とS2は、定項、変項の導入規則、Katは、Hauptkategorie。

    S3 挿入規則
     σ0(x,y)=df「x(y)」 Katτ1τ2Katτ1→Katτ2

    S4 等値規則
     σ1(x,y)= df「(x=y)」 Katτ, Katτ

    S5 論理記号に関する規則
     σ2(x)=df「(~x)」 Kat t→Kat t
     σ3(x, y)=df「(x ⋀ y)」
     σ4(x, y)=df「(x ⋁ y)」
     σ5(x, y)=df「x → y)」
     σ6(x, y)=df「x y)」 以上Kat t, Kat t→Kat t

    S6 普遍、存在限量子に関する規則
     σ7(x, y)=df「∀x(y)」
     σ8(x, y)=df「∃x(y)」 以上Varτ, Kat t→Kat t

    S7 λ演算子に関する規則
     σ9(x, y)=df「λx(y)」 Varτ1, Katτ2→Katτ1τ2

    S8 内包、外延の演算子に関する規則
     σ10(x, y)=df「in(x)」 Katτ→Kat sτ
     σ11(x, y)=df「ex(x)」 Kat sτ→Katτ

    S9 様相、時制演算子に関する規則
     σ12(x, y)=df「□(x)」
     σ13(x, y)=df「Fut(x)」
     σ14(x, y)=df「Perf(x)」 以上 Kat t→Kat t

     これらのILにおける統語規則には、それぞれに対応する形で意味規則が設けられている。ILにおける意味論とは、複合表現をこのような意味規則により解釈し、最終的にモデル理論に基づく指示対象(外延:Des = REF x 意味規則)に対応づける操作を施す。

    花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より

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    2.2 内包論理(IL)

     モンタギューのILの基本的な特性は、高階の対象を扱うためにタイプ理論を導入し、これを様相論理と掛け合わせたものといえる。様相論理は、命題論理や述語論理に比べて、自然言語の表現に対する適用範囲が多少広げられた論理系で、必然性、可能性という話法の導入が見られる。

    2.2.1 タイプと基本表現
     
     範疇とタイプの対応は、次のように規定される関数fによる。

    1 f(e)=e
    2 f(t)=t
    3 f(e)t)=s]e]]t

     1は、e範疇がeタイプ(個体)に、2は、t範疇がtタイプ(真理値)に適応し、3は、「s(指標、可能世界wと時点zの対)からeへの関数の集合」から真理値への関数を表す。ILの基本表現とは、これらのタイプを含む定項と変項から構成されている。それぞれVar n,τ、Con n,τと記号化され、ILのτタイプのn番目の変項、定項を表している。

    花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より

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    2.1    ドイツ語の範疇及び基本表現

     範疇とはAjdukiewiczの範疇文法が基礎になっている。Lewis(1972)に基づき簡単に記すならば、範疇文法とは、以下のような文脈自由の句構造文法である。基本カテゴリー(S、N、C、・・・)の組み合わせにより複合カテゴリーが定義される。(C/C1・・・)。これらが品詞に対応する。そして、複合カテゴリーは、同時に構文的な結合関係も表し、それぞれが語彙目録を携えているのである。これらの手掛かりとして Löbner(1976)にある範疇や基本表現を見てみよう。

    範疇の定義 範疇 通常の表現 基本表現
    t Satz 文 -
    e]t Substanz 普通名詞 Mensch, Student, Vegetarier, Zwerg
    e]t]]e]t]]t Art 冠詞類 Jeder,ein,kein,der
    e]t]]t N 固有名詞、代名詞 Heinrich,Stefanie,er0,er1
    e]t V 自動詞 frieren,husten,lächeln,seufzen
    e]t]]e]t Adv 述語修飾の副詞 sehr,gerade
    e]t]]t]]]e]t TrVn 他動詞 finden,sehen,suchen,beobachten
    t]e]t TrVsatz 補文を取る他動詞 sagen,verrate,behaupten
    t]e]t TrVv Zu不定詞の他動詞 beginnen,wagen,versuchen,pflegen
    e]t]]t]]]e]r]]e]t]] Präp 前置詞 trotz,wegen
    t]t AdSatz 文修飾の副詞 notwendig,wahrscheinlich,sicher

     範疇の定義におけるeは固体、tは文の範疇である。PTQに比して、範疇Artが設けられている。この措置は、範疇Artの複合表現(ein jeder)がドイツ語にみられることを考えれば妥当なものといえよう。

    花村嘉英(2020)「Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性-モンタギュー文法による形式意味論からの考察」より

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    2 モンタギュー文法のドイツ語への適応

     UGは、文法体系を代数的に規定する総合的な理論であり、PTQは、UGの枠組みを英語の断片を用いて具体的に展開させている。Löbner(1976)では、数学上の基礎概念(集合論、関数式等)をUGに従って説明し、PTQに準じた形で、ドイツ語の統語論、内包論理、双方を関連付けるために翻訳規則が規定されている。図式化すると次のようになる。

    統語論 範疇 範疇文法による規定(f)タイプ ILの表現の範疇の規定 統語論
    統語論 基本表現 ドイツ語の断片に対する語彙目録(翻訳規則)基本表現 それぞれのタイプの定項と変項
    統語論 統語規則 ドイツ語の断片を生成(翻訳規則)統語規則 ILの有意表現形成 Des:REF+意味規則 意味規則 意味論

     以下、ドイツ語の範疇及び基本表現、内包論理(IL)、ドイツ語の統語規則及び翻訳規則の順に説明していく。

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