1 最初は作者と都会にいる友人とで理解度に差がないと予測する。両者の平均値を取ると、藤村 1.6、友人 0.4になる。この差は誤差の可能性がある。
2 具体度の1、2は独立変数であり、それにともなう理解度の大小は、従属変数になる。
3 独立変数そのものの1、2が要因で、独立変数の実際の値、理解度が水準になる。
4 ここでは、どちらの水準も同じ標本からデータを集めているため、具体度という要因は、参加者内要因になる。
5 得られた有意確率(p値)を有意水準と比較する。危険率は通常5%未満のため、ここではt検定を採用する。
6 t検定では、二つの平均の差を表す統計量(t値)、データの規模を表す自由度(df)、p値(p-value)を説明する。
[満足度のt検定]
綾子 1.6、前川 0.4、よってt値=1.2。
自由度は、独立した標本の個数から1引いたものである。よってdf=8。
p値は、0.02にする。ここでは5%未満のため、帰無仮説を棄却して対立仮説を採択し、有意な差があるとする。
花村嘉英(2020)「心理学統計の検定を用いて島崎藤村の『千曲川のスケッチ』を考える」より