2 ファジィ測度
2.1 一般の測度とファジィ測度の違い
一般的にファジィ集合は、境界がぼやけた概念の曖昧さのことであり、ファジィ測度は、鮮明な境界内にある要素についてその可能性が特定できない曖昧さのことをいう。前者はベイグネス、後者はアンビグイティと呼ばれている。
例えば、聖書の枠組みは変わらずとも、「ヤコブ物語」に登場するエサウやヤコブが聖書に登場するエサウやヤコブとどの程度近いのか、なかなか特定できない。こうしたファジィ測度を平易な論理計算を用いて説明していく。
あるいは、聖書の中のエサウやヤコブと異なる記事もあるであろう。しかし、ファジィ測度を用いれば、そういう内容もやさしい論理計算に基づいて説明することできる。
一般的に測度とは、長さ、面積、体積、質量などの外延量(広がりに規定される量)の数学的な表現である。一方、速度、濃度、密度などの量は、内包量と呼ばれる。例えば、AとBがそれぞれ1の仕事しかできないとしても、一緒に働くと2.5の仕事ができるような相乗効果がでる場合、
(1) μ({a})= μ({b})= 1,
(2) μ({a,b})= 2.5
とファジィ測度で表現される。
花村嘉英(2019)「「ヨセフとその兄弟」の「ヤコブ物語」から見えてくるファジィ測度について」より