トーマス・マンの「魔の山」の多変量解析-クラスタ分析と主成分4


④  以下の章では、Traeger (1993)に基づき平易なファジイ理論が導入される。Traeger (1993)によると、ファジイ理論は、古典論理の拡張であり真偽だけではなくたくさんの中間段階を考察することができるという。つまり、ファジイ理論を言語処理に適用する面白さは、古典論理で言う真偽では説明ができない数字のずれや、「ほとんど」とか「かなり」といった修飾語を伴う日常表現も説明できる点にある。
➄  例えば、夏期休暇の避暑地における滞在に関して、「長い」の下限を21日とする。古典論理では、21日以上の場合、割り当て可能になるが、21日未満の場合、不可 能となる。しかし、20日間の滞在でも、全く該当しないわけではない。 それどころか、ほとんど該当する。こうした奇妙な現象を解決するため に、ファジィ理論は、メンバーシップ値を採用する。これにより、20日 間の滞在は、95%「長い」となり、18日間の滞在は、80%「長い」とな る。また、両方の数字の間には、ファジイコントロールと呼ばれる計算術が存在し、それは、ファジイ化、推論そして脱ファジイ化という3つの構成要素を持っている。
それでは、簡単な用例を引用しながら、やさしい曖昧な数学を見ていくことにしよう。

花村嘉英(2019)「トーマス・マンの「魔の山」の多変量解析-クラスタ分析と主成分」より


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です