イディオム-モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ7


2.2.4 FFP、CAP、HFC

 これらは、木の中での素性の分布を決定する普遍的な制約である。FFPは、部分木の親カテゴリーの足素性がその娘の足素性のユニフィケーションに等しいことを示してくれる。*足素性は、NP[NULL, +]/NPというカテゴリーのSLASH素性や関係代名詞の素性値指定[WH[WHMOR R]]などに現れる。NULLは、空のX2を導く(13)のメタ規則により認可される。

(13)スラッシュ終端メタ規則1(Slash Termination)
   X→W, X2

X→W, X2[NULL, +]

(14) ein Mann, dessen die Welt bedarf, liest ein Buch. 
S △ NP[PLU, -] → VP 
△ liest ein Buch NP[PLU, -] S
ein Mann △
NP[WH[WHMOR R]] S/NP

N[WH[WHMOR R]]   NP[PLU, -] →VP/NP
dessen die Welt NP[NULL, +]/NP V bedarf

 CAPは、部分木の娘同士の素性間を受け持つ。例えば、部分木の文末のうち、因数であるカテゴリーの素性を関数であるカテゴリーに引き渡す役割を果たす。* この種のCAPが作用して、(14)のNP素性がVPに伝わる。HFCは、部分木の語彙的主要部となる娘カテゴリーにその親カテゴリーが待つ主要部素性を受け渡していく。* HFCは、部分木の語彙的主要部となる娘カテゴリーにその親カテゴリーが持つ主要部素性を受け渡していく。

(11‘)S[N, -][V, +][V[FIN]]
△ NP[N, +][V, -][PLU, -][PER, 3] VP[N, -][V, +][V[FIN]][PLU, -]
△ Det N1 [N, +][V, -][PLU, -][PER, 3] △  V[N, -][V, +][V[FIN]][PLU, -] NP
Ein Mann N[N, +][V, -][PLU, -][PER, 3] liest ein Buch

花村嘉英(2022)「イディオム-モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ」より  


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