2.2.3 メタ規則
メタ規則は、基本的なID規則だけでは表現できない、ID規則からID規則への関係(受身、等値、スラッシュな)を扱う。その適用範囲は、語彙的ID規則に限られている。また、この規則は、回帰的には使われない。その数を有限とすることで文脈自由の性質を保つのである。*
(12)主語-助動詞倒置メタ規則(Subject-Aux Inversion: SAI)
V2[[SUBJ, -]] →W
V2[[INV, +], [SUBJ, +]] →W, NP
(12)のメタ規則は、(10)4のようなID規則から文カテゴリーSを平らなS構造へと展開する。Wは、ID規則の中の任意のカテゴリーを表す変数である。また、素性値指定[INV, +]は、[VFORM[FIN]](時制)を素性値指定[SUBJ, +]は、[N, -], [V, +], [BAR, 2]を含意している。*
花村嘉英(2022)「イディオム-モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ」より