『話す』 日本語の会話や作文からやさしい翻訳へ7


 クラスで漢字系学習者には、最初に漢字熟語のリストを与えず、音声と文脈から漢字を連想させるようにする。正確な読み方や使い方は後から説明するとよい。
 リーディングの指導は、音読と読解に分けられる。音読とは、文字の音声化のことで、読解とは、テキストから情報を引き出すことである。いわば、音読は、読解のための基礎的な能力といえる。経験からも分かるように、音声と意味及び音声と文字はすぐに結びつくが、意味と文字はなかなか結びつかない。音声と意味の結合は、聴覚像が媒介になり、音声と文字は、記述像が媒介になる。意味と文字は、こうした聴覚像と記述像が二段階で結びつくことにより、次第に両者が直結するようになる。これがリーディングのゴールである。

花村嘉英著(2017)「日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より


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