日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較-言語類型論における普遍性を中心に1


1 形態、語順、活用

 言語類型論では昔から、屈折語、膠着語、孤立語という3形態が知られている。例えば、ドイツ語やフランス語のような印欧諸語は屈折語に属し、日本語や韓国語のようなアルタイ諸語は膠着語に属する。また、中国語のようなシナ・チベット語族は孤立語に入る。英語は、屈折語の特徴が次第に薄れて簡略化が進んでいる。こうした言語の特徴は、相対的なものであり、強弱で識別できることもある。
 世界の言語をグループ化するとき、この小論では特に東アジアと欧米諸語をその対象にする。言語や文化を比較する場合、テキストを交えて処理できる範囲を限定したほうがよい。アルタイ語の日本語と韓国語、シナ・チベット語の中国語そして印欧諸語の英語、ドイツ語、フランス語などは、現状で考察可能な言語である。
 アメリカの言語学者グリーンバークは、他動詞文に必要な要素S(主語)とV(動詞)とO(目的語)を用いた語順や修飾語の位置及び前置詞か後置詞かの区別によって世界の言語を次のように分類している。(金田一 1997)

花村嘉英(2018)「日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較-言語類型論における普遍性を中心に」より

シナジーのメタファー3


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