4 まとめ
阿城の執筆時の脳の活動を調べるために、まず受容と共生からなるLのストーリーを文献により組み立てた。次に、「棋王」のLのストーリーをデータベース化し、最後に文献で止めたところを実験で確認した。そのため、テキスト共生によるシナジーのメタファーについては、一応の研究成果が得られている。
この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人6対4、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。
参考文献
花村嘉英 計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书-面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方-トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日語教学研究会上海分会論文集 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分会論文集 2019
花村嘉英 社会学の観点からマクロの文学を考察する-危機管理者としての作家について中国日語教学研究会上海分会論文集 2020
花村嘉英 三浦綾子の「道ありき」でうつ病から病跡学へのアプローチを考える 中国日語教学研究会上海分会論文集 2021
阿城 棋王 民族文化派小説 時代文艺出版社 1989
阿城 チャンピオン(立間祥介訳)徳間書店 1989
Wikipedia 阿城
花村嘉英(2023)「阿城の『棋王』で執筆脳を考える」より