5 HPSGによるイディオム分析
量化と同様に、修飾の問題も論理文法においてしばしば取り上げられている。* ここでは、名詞を修飾する形容詞がテーマになる。また、これと関連してイディオムの内部を修飾する形容詞、例えば、auf den leibhaftigen Hund kommenのleibhaftigについても検討するが、これは、フレーゲの構成性原理がポイントになる。*
ここでの研究の対象は、修飾語、特に名詞を修飾するまたはイディオムの一部を修飾する形容詞である。まず、付加的な形容詞「青い」の語彙登録に関するローカルな値の処理を見てみよう。(27)のような形容詞は、指標の制限が形容詞からなるpsoa とNʼ主要部の名詞からなるpsoaを含んだNʼを形成するために、名詞の構成要素と結合することになる。
しばしば議論になるが、色彩用語は、その値自体が目盛りを固定する隠れたパラメータになることがある。ここでは、「青さ」を決定する尺度がそれに当たる。つまり、「青い」という関係が付加的な役割(STANDARD)を持っていて、その値は、文脈上で決まる特徴であり、「青さ」を決定するための標準を提供してくれる。これにより(29)のような形容詞に対して制約を設けることが可能になる。これらは、修飾する名詞と関連した特徴を変数とする関数として処理されるべきである。
花村嘉英(2022)「イディオム-モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ」より