モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正5


 素性と素性値の対の集合からカテゴリーが構成される。* この対は、素性値指定と呼ばれる。(4)のNPを正確に記すと、それは、次のような素性値指定の集合と考えられる。但し、カテゴリーのNと素性のNを混同してはならない。

(5)NP=[N, +], [V, -], [BAR, 2], [PLU, -], [PER, 3], [CASE, NOM]]

 カテゴリーには、主要なものと副次的なものとがある。前者は、N、V、A、Pおよびそれらの投射、後者は、Det(限定詞)、CONJ(接続詞)、COMP(補文標識)などで、これらは、BAR素性の値を欠いている。しかし、GPSGでは、BAR指定がなくてもSUBCATが指定されていれば、語彙カテゴリーのメンバーなのである。*

(6)A=[N, +], [V, -]
B=[N, +], [PLU, -]
Unif(A, B) =extension(A) =extension(B)

(6)は、Unif(A, B)がカテゴリーA、 Bの合成([N, +], [V, -], [PLU, -])を値とする関数で、それがAとBのそれぞれに含まれるすべての素性値指定を拡張したものになるということを表している。カテゴリーA、Bのユニフィケーションとは、A、Bの拡張であり、かつ最小のカテゴリーを求めることである。*

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正」より

シナジーのメタファー1


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