モンタギュー文法の意味公準について考える-階層的な様相表現を中心にして18


 PTQにおいても意味公準が導入されている。*つまり、ILを意味解釈する際、指定された意味公準を満たすモデルに従って考察を進めていく。以下に、PTQに組み込まれている意味公準の一例を示す。

(19)∀x∀π□(δ(x, π)π(∧λy(δ*(x, y)))

 ここで、δは、finden、lieben、essenなどの外延他動詞で、*は、タイプ変換である。例えば、次の文を考えてみよう。 
 
(20)Maria findet ein Einhorn.

 この文が真であるならば、Einhorは、存在しなければならない。(20)をde dicto(言表)読みとすると、(21)が得られる。

(21)finden‘(M, ∧λP∃x(Einhorn‘(x)∧P(x)))

(21)は、(19)にしたがって、de re(事象)読みと等しくなる。

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法の意味公準について考える-階層的な様相表現を中心にして」より

シナジーのメタファー1


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です