モンタギュー文法の意味公準について考える-階層的な様相表現を中心にして7


 S4は、到達可能関係として、反射性、推移性を備えている。また、(6)の公理をTに加えることにより、S5が得られる。

(6)◇A→□◇A

 これは、到達可能関係として、(3)のすべてを持っている。T、S4、S5の必然規則には、制限がない。一方、S1-S3の持つ必然規則には制限がある。
 例えば、S1では、含意といっても厳密含意に限られる。厳密含意とは、命題Bが命題Aから論理的に帰結するという意味で、これに対応する含意は、実質含意である。命題論理でいうA→Bも、S1では、A⇒Bでなければならない。A⇒B=¬□(A∧¬B)、⇒は、厳密に含意すると読む。つまり、S1は、Tに比べても、その適応範囲が限られていることになる。S1では、次のような公理が認められている。

(7)a (A∧B) ⇒(B∧A)
b (A∧B) ⇒A
c A⇒(A∧A)
d ((A∧B) ∧C) ⇒(A∧(B∧C))
e ((A⇒B) ∧(B⇒C)) ⇒(A⇒C)
f (A∧(A⇒B)) ⇒B

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法の意味公準について考える-階層的な様相表現を中心にして」より

シナジーのメタファー1


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