三浦綾子の「道ありき」の多変量解析-クラスタ分析と主成分2


2 三浦綾子の「道ありき」は気分障害

 「道ありき」の購読脳 「虚無と愛情」にする。回想録執筆時の記憶の中では、肺病のため虚しい思いがつきまとっている。気分障害の原因については、身体疾患との関連があるといわれている。日本成人病予防協会(2014)によると、うつの症状としては、心身のエネルギーが低下することによって日常生活に支障をきたした状態のことである。憂鬱感と不安感が混じった抑うつ感、考えがまとまらず決断に時間がかかり、注意散漫になる思考障害、物事に対する関心や興味が低下する意欲障害がうつ病の基本的な症状である。
 購読脳の組み合せ、「虚無と愛情」という出力が、共生の読みの入力となって横にスライドし、出力として「虚無とうつ」という執筆脳の組を考える。シナジーのメタファーは、「三浦綾子と虚無」として調節する。
人生の中では失うものもあれば得るものもある。三浦綾子も20代に入って敗戦の翌年に肺結核の症状が出た。しかし、医師は肺結核とは言わず、問診で肺浸潤とか肋膜と説明した。肺結核と診断すれば、現代でいうがんを宣告するようなものであった。何れにせよ何を目標に生きればよいのかわからず、綾子は、何もかもが虚しく思われる虚無の心境となった。

花村嘉英(2019)「三浦綾子の「道ありき」の多変量解析-クラスタ分析と主成分」より


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です