ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する9


A シナジーの組

 例えば、人文と情報(コーパス、パーザー、計量言語学、翻訳メモリー)、文化と栄養、心理と医学、社会とシステム、法律と技術(特許)、法律と医学、法律とエネルギー、社会と福祉、医療と経営、経営工学、金融工学、ソフトウェアとハードウェアそして文学と計算などがこのグループに入る。これらの中から何れかの組を選択して、テーマを作っていく。もちろんこれらの組について複数対応できることが望ましい。
 
B テーマの組

 選んだ組からLに通じるテーマを作るには、人文科学と脳科学という組のみならず、ミクロとマクロ、対照の言語文学と比較の言語文学、東洋と西洋などの項目も必要になる。ここでミクロとは主の専門の研究を指し、マクロとはどの系列に属していても該当するように、地球規模とフォーマットのシフトを評価の項目にする。シナジーの研究は、何かとバランスを維持することが大切である。
 「トーマス・マンとファジィ」は、ドイツ語と人工知能という組であり、「魯迅とカオス」は、中国語と記憶や精神病からなる組である。そこには洋学と漢学があり、また長編と短編という組もある。文学と計算のモデルは、こうした調整が土台になっている。

表1

テーマの組                 説明
文系と理系          小説を読みながら、文理のモデルを調節する。
人文科学と社会科学      文献とデータの処理を調節する。
言語文学(対照と比較)   対照言語と比較言語の枠組みで小説を分析する。
東洋と西洋          東洋と西洋の発想の違いを考える。例えば、東洋哲学と西洋哲学、
               国や地域における政治、法律、経済の違い、東洋医学と西洋医学。
基礎と応用         まず、ある作家の作品を題材にしてLのモデルを作る。次に、他の作家の
               Lのモデルと比較する。
伝統の技と先端の技     人文科学の文献学とシナジーのストーリーを作るための文献学(テキスト
               共生)。ブラックボックスを消すために、テキスト共生の組を複数作る。
ミクロとマクロ       ミクロは主の専門の調節、マクロは複数の副専攻を交えた調整。
               少なくとも縦に一つ(比較)、横にもう一つ取る(共生)。

花村嘉英(2018)「ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する」より


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