4 金融
4.1 日本の金融
A 公定歩合の役割
日銀が取引のある主要な銀行に資金を貸出する場合に、適用する金利のことである。公定歩合が上がると、資金コストが上がるため、企業への貸出金利を上げるため、企業は設備投資を抑制し、結果的に経済全体の資金受容が減少して、景気は下降に向かう。逆に公定歩合が下がれば、景気はよくなる。
B ペイオフ解禁
従来の預金を全額保護する制度から、一定額を超える貯金については、保護(保険)対象外とする制度のことである。これは、金融機関の経営改善を促進する同時に、破綻した金融機関にこれまでの公的資金の投入する制度から随時解禁されていくことをも意味している。
C デフレを解消する金融政策
デフレを解消するために、中央銀行は金利の引き下げやマネーサプライの増加といった金融緩和策をとる必要がある。
1999年2月に、日銀はゼロ金利政策が採用された。ゼロ金利政策の目的は、個人や企業の金利負担を軽減することにより、消費意欲を刺激して、当時進行していたデフレを緩和しようとするものである。日本は今でも低金利政策をとっている。
デフレ解消の量的緩和政策を見てみよう。超低金利制作の下で、金利を下げる余地がなくなり、日銀が市中銀行に大量の資金を供給し続ける量的緩和策を導入した。金融理論によると、流通現金と日銀当座預金の合計値からなるマネタリーベースを増加させれば、信用創造により、その乗数倍だけのマネーサプライが増加し、デフレが解消するはずである。深刻化するデフレ対策のために、当座預金は35兆円まで漸次増加されていった。
金融調整政策もある。金融調整政策は、日銀が短期金融市場の資金送料を調節するものである。日銀は、金融機関を相手に債権や手形を購入することにより、金融市場に資金を供給したり、金融機関に国債などを売ることで金融市場から資金を吸収したりしている。
これらの制作により、2002年から景気回復が本格化したのみならず、消費者物価指数も前年比上昇率が安定的にプラス基調で推移して、デフレ脱却の兆しが見えてきた。
花村嘉英(2017)「日本経済入門の講義」より