日本経済入門の講義4


D 日本の医療と公的年金の仕組み
 原則としてすべての国民が何らかの公的医療保険制度によってカバーされる国民皆保険体制をとっている。例えば、①被用者保険、②国民健康保険、③高齢者に対する老人医療に分類できる。
① 被用者保険とは、サラリーマンとその扶養家族をカバーするものであり、職域で形成された健康保険、船員保険、各種共済組合である。
② 国民健康保険とは、被用者とその扶養家族以外の地域住民を被保険者とする地域保険である。市町村が国民健康保険の中心である。
③ 老人医療とは、各医療保険制度に加入している高齢者または65歳以上の障害者を対象とし、各医療保険者からの拠出金と公費を財源に、市町村もその給付の主体となって行うものである。
国民年金は、20歳以上60歳未満の居住者の全てが加入することになっている。被用者(サラリーマン)はそれに加えて、厚生年金または共済年金に加入する。厚生年金と共済年金の加入者は、国民年金の第二号被保険者となり、その被扶養配偶者は、第三号被保険者となる。自営業者や学生などは、第一号被保険者である。
 年金の支給については、納付期間の変更もあってまちまちであり、また、高齢化社会の到来もあり、受給額は年々目減りしている。世代間の格差、女性の年金問題、共働きや独身者第一号被保険者など、労働供給が抑制されているという不公平の指摘がある。

花村嘉英(2017)「日本経済入門の講義」より


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