日本経済入門の講義3


B 社会保障制度は大別して3つの機能がある。
① 社会的安全装置としての機能。病気や失業など様々なリスクに対し、喪失所得や追加的費用を保証することで、社会的なセーフティネットとして生活を安定させ、新たな挑戦を可能にさせる機能である。
② 所得再分配機能。市場メカニズムを通してもたらされる所得分配をする機能である。
③ 経済の安定・成長及び社会の安定を資する機能。景気の後退期に失業給付を通じて消費を下支えするなど、景気の変動をなだらかにする。

C 日本の社会保障制度の特徴
 社会保険型から普遍主義型へ 全体的に見つめると、第一の特徴は、当初のドイツに代表される社会保険型から出発し、次第に普遍主義型の方向に移行していったことにある。社会保険型とは、職域を中心として、所得比例的な給付構造をとり、保険料を主財源とする社会保障システムということである。また、普遍主義型とは、全住民を対象に、均一に給付し、主に租税を財源とするところに特徴がある。
 日本の年金制度は、一階に基礎年金、二階に厚生年金という形で、普遍主義的モデル(均一給付の基礎年金)とドイツ型社会保険モデル(職域中心の報酬比例年金)とを折衷したものである。両者は財源的に融合しており、基礎年金部分は、財源が三分の一は税、三分の二は保険料となっている。こうした一体性こそが、日本の年金制度の最大の特徴である。

花村嘉英(2017)「日本経済入門の講義」より


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