ビジネス日本語の攻略法2


2 教授法からのアプローチ
 
 ビジネス日本語のクラスをこれまでに数回担当している。内容は、ビジネス日本語会話とビジネスメールの書き方についてである。教材は、「商务实战日语会话」、「新商务日语基础教程」、「日语会话商务篇」そして「职场日本语-邮件写作篇(しごとの日本語)」を使用した。

2.1 ビジネス日本語会話

 2009年当時、日本語のビジネスといっても翻訳のチェッカーと英日と独日翻訳者という経歴のため、武漢では、主に社内コーディネーターとのやりとりをイメージし、授業を進めていた。語順、活用のあるなし、「てにをは」など日本語と中国語の文法レベルによる違いだけでなく、日本語は敬語が発達しているという特性から、ビジネスに必要な言い回しについても説明した。
 例えば、お客様や上司、初対面のときのような社内でも社外でも改まった場面では、敬語を使う習慣がある。直接的な表現を多用する中国語とは異なり、婉曲表現による間接的な言い回しや本題の直近に入る準備のことば(铺垫语)を覚えることで、日本人に近いビジネス日本語を使用することができるようになっていく。
【課題1】
基本会話(ABA)に続けて、自分たちで会話を作ってまとめる練習。
A 日本では転職するのが難しいんですか。
B ええ、外国と違って同じ会社で定年まで働き続ける人が多いです。
A でも若者の考え方は随分変わったようですね。
B ―――
武漢では、翌年も教材を変えて、日常の簡単なビジネスの場面を想定しながら、ペアワークを中心にして学生に練習を課した。確かに会話だけで日本のビジネスを理解するのは難しいため、さらに、グループワークとして会議を想定し、役割を決め、議題を課してミーティング形式でトレーニングをするとよい。議題と構成員は、クラスの担当教員が予め決めておく。
【課題2】
新商品の紹介と営業の引き継ぎ(議長一人、社員二人、取引先営業二人)、課のメンバーの作業の進捗(課長一人、メンバー四人)、定例のイベントの準備(プロジェクトリーダー一人、メンバー四人)
【課題3】
寧波でもビジネス日本語の基礎編を担当した。
です・ます形式を許可と禁止の表現に変えて発音する練習。
A この件を上司に報告します⇒この件を上司に報告してもいいですか。
B まだ調査中です⇒すみませんが、まだ調査中ですから、報告しないでください。
最初に全体練習、次にペアワークで会話を覚えて発表する。

ビジネスで使用する手紙やスピーチの方法を練習して発表する。
近況報告、招待状、ワークショップ等を模して実践に近づけていく。

花村嘉英(2018)「ビジネス日本語の攻略法」より


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