1 はじめに
2015年冬学期に、中国の寧波市にある寧波大紅鷹学院において、日本語専攻の4年生を対象に日本経済入門のクラスを担当した。その時に使用した教材は、楊立国編(2011)の「日本経済入門」である。
楊立国編(2011)の「日本経済入門」は、序章を除いて二部構成である。第一部は、戦後の日本経済の成長の足跡について、第二部は、日本の現在の経済構造について説明している。まず、第一部では、敗戦からの復興(1945-1955)、高度成長期(1955-1973)、安定経済の成長期(1973-1985)、バブル経済期(1985-1990)、バブル崩壊後の日本経済(1990-現在)と分けて、それぞれの時代でどのような問題があり、それをどのように解決したのか論じている。一方、現在の経済構造については、日本の社会保障、日本の財政、日本の金融、日本の産業構造そして国際貿易と日本円がテーマになっている。
毎回、学生が本文を1ページ読み、私が要約しながら解説を入れていく、この繰り返しで授業を進め、月に一度、学生に宿題を出す。宿題は、教材に出てきた図表を学生が説明するというものである。スコアは、平時と期末に分けて判定する。平時は、出欠、音読、宿題で判定し、期末は、レポート形式の試験をする。そして、両方を合わせて、一つのクラスでもできるだけ総合判定にもっていく。
以下では、私の関心のあるテーマを中心にして、各章末にある課題の解き方を説明する。特に、第二部の現状の日本の経済構造に関する問題を解くことにより、教材の内容の理解度を深めていきたい。
花村嘉英(2017)「日本経済入門の講義」より