三浦綾子の「道ありき」でオッズ比を考える1


1 オッズ比とは

 ある事象の起こりやすさを二つの群で比較する統計の尺度である。オッズ比の考え方は、2×2分割表であり、a/bが要因Aあり群の要因Bのオッズ、c/dが要因Aなし群の要因Bのオッズで、両者の比(a/b)/(c/d)=ad/ bcがオッズ比である。

表1
要因A あり a b a+b
要因A なし c d c+d
要因B あり a c a+c
要因B なし b d b+d

n=a+b+c+d
要因Aありのオッズ=a/b
要因Aなしのオッズ=c/d
オッズ比=(a/b)/(c/d)=ad/bc

 オッズ比が1とは、対象とする事象の起こりやすさが両群で同じということであり、1より大きいとは、事象が第1群(第2群)でより起こりやすいということである。オッズ比は必ず0以上である。第1群(第2群)のオッズが0に近づけばオッズ比は0(∞)に近づく。但し、bやcが0の場合、オッズ比の公式の分母に0が入るため、オッズ比が無限大(∞)になり95%信頼区間もできなくなる。そこで4つのセルに0.5を加えて、(a+0.5)x(d+0.5)/ (b+0.5)x(c+0.5)をオッズ比とする。これは、ウォルフ-ハルディンの補正と呼ばれている。

花村嘉英(2020)「三浦綾子の『道ありき』でオッズ比を考える」より


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