日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較-言語類型論における普遍性を中心に7


 表3の中でa、b、c、dは、補助タイプである。それぞれ順に、孤立的、膠着的、融合的、象徴的になる。また数学的には、次のような公式が成り立つ。膠着c (goodness) = a + b、規則的融合(強)c (books) = a + (b – x) + x 、不規則的融合(弱)c (depth) =(a – x) + (b – y) + (x + y) 、象徴法c (geese) =(a – x)+ x。
 日本語については、根本概念が語幹概念を純粋なまま保持せずに、不可分の要素(例、動詞や形容詞の活用形)を集めて、その具体的な観念を組み立てる言語とする(Dタイプ)。また、命題が組み立てられる際にも、不可避な概念に具体的な概念が混入することがある(例、複数性、格助詞)。
 ドイツ語も根本概念が語幹概念を純粋なまま保持せずに、不可分の要素(例、動詞や形容詞や名詞の活用形)を集めて、その具体的な観念を組み立てる言語とする(Dタイプ)。命題が組み立てられる際にも、やはり不可避な概念に具体的な概念の混入が見られる(例、複数性、名詞の性、冠詞)。
 そのために、両言語とも複雑な混合関係概念とした。但し、融合度と総合度には違いが見られる。例えば、融合度に関していうと、日本語には「てにをは」による名詞との膠着があり、一方ドイツ語は、冠詞、形容詞、名詞による融合が見られる(例、ein guter Professor:主格、男性、単数)。また、総合度に関しては、日本語が節約しながら複合語を作るのに対して、ドイツ語は造語の発達が顕著である。

花村嘉英(2018)「日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較-言語類型論における普遍性を中心に」より

シナジーのメタファー3


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