これに融合度と総合度による分類が加わる。融合度は、孤立、膠着、融合、象徴を特徴とする。例えば、日本語のような膠着型言語が並置の手法で接辞添加をするのに対して、ラテン語のような融合型言語は、定義上非膠着型言語になる。
また、総合度は、分析型と総合型に分けられる。分析的言語とは、複数の概念を結合して単一語にすることがない言語(例、中国語)または節約しながらそうする言語である。(例、英語、仏語)また、ポリネシア語は、語順が中国語よりも揺れていて、複雑な派生に向かう傾向がある。
総合的言語とは、概念が密で語がより豊富な内容を持っていて、具体的な意味の射程を適度な範囲に保とうとする言語である(例、ラテン語)。ラテン語とギリシア語は、基本的に屈折型の言語であり、融合的な手法を取る。この融合には、外的な音声的意味と内的な心理的意味がある。
表3
根本概念 1派生概念(Ⅱ)2具体的関係概念(Ⅲ)3純粋関係概念(Ⅳ)4手法(融合度)5総合度 6例
A 単純な純粋関係 1― 2― 3a 4孤立的 5分析的 6中国語
B 複雑な純粋関係 1b, (d) 2―, 3a 4膠着的, 孤立的 5分析的 6ポリネシア語
C 単純な混合関係 1(c), 2c, (d) 3a 4融合的 5分析的(少し総合的) 6フランス語
D 複雑な混合関係 1c 2c, d 3a 4融合的 5分析的 6英語
D 複雑な混合関係 1c, d 2c, d 3― 4融合的 5総合的 6ラテン語、ギリシア語
D 複雑な混合関係 1b 2b 3a 4膠着的 5分析的 6日本語、韓国語
D 複雑な混合関係 1c 2c, d 3a 4融合的 5総合的 6ドイツ語
花村嘉英(2018)「日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較-言語類型論における普遍性を中心に」より