日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較-言語類型論における普遍性を中心に15


 日本語の使役態は、動詞+「せる」/「させる」の形になる。意味としては、①力で他のものを動かすものと②他者の意志を尊重してその意思通りの行動を許可するものとがある。

(37)社員には始末書を提出させる。
(38)会議では自由に発言させる。

 「提出させる」は他者を動かし、「発言させる」は行動を許可する意味になる。
 使役態も非情物が主語になると、あまり使われない。また、使役態を使うところを能動態ですませることもある。(39)は、工事関係者に橋を建設させたことを言っている。

(39)市は橋を建設した。

 中国語の使役文は、使役動詞(例、使、让、叫など)を用いてその目的語が同時に後の動詞の主語にもなる構造である。中国語も施事者が受事者に対して働きかけ、指示に従って行動させる意味内容を表す。

(40)老师叫学生回家。(先生は生徒たちを帰宅させる。)(山本哲也 2002)

シナジーのメタファー3


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