「ブルジョワ世界の終わりに」から見たゴーディマの意欲についてー脳の前頭葉の活動を中心に9


5 ゴーディマの執筆脳

 表2で説明したように、意欲とは、人が何かの行動を起こすとき、欲求や衝動、願望などが動機づけとなって、意味や目的を持って行動しようとする意志の働きである。「ブルジョワ世界の終わりに」を書きながら、ゴーディマは、反アパルトヘイト運動が成立しない白人社会の終焉のために、白人が南アフリカの変革にどのように関与できるのか、問いかけていた。しかし、意欲を持って計画をしても、欲求が満たされないことがある。意欲、計画、欲求に関する脳の作用は、主に前頭葉が担っているため、前頭葉のあらましについて以下で説明する。
 前頭葉は、頭頂葉や側頭葉や後頭葉といった他の連合野と相互関係にあり、聴覚、体性感覚、視覚と結びつきがある。また、本能を司る視床下部とか情動や動機づけに対して判断を下す扁桃体と結びつきが強い。(Goldberg 2007:57)
前頭葉には、意志、計画、意欲、感情、言語の発音、運動の統合などの働きがある。また、思考や推測などの学習能力は、前頭連合野が支えており、五感から入った情報は、最終的に前頭連合野に送られて、何をするべきかが判断される。

花村嘉英(2018)「『ブルジョワ世界の終わりに』から見たゴーディマの意欲について」より


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