どうにもならない無限の状態を表す「空間と時間」は、意欲を介して適応能力となり、理解、思考、判断などの総合的な能力が、南アフリカの将来を見据えたゴーディマのリスク回避につながっていく。作家もエキスパートであり、作品執筆時には特定の脳の活動があるためである。なお、一般的に空間は、右脳が処理し、時間は、感覚的にも論理的にもイメージできるため、左右の脳が関係する。
【Lのストーリー】
◆ 縦に受容 言語文学(ゴーディマ)→言語の認知→空間と時間(無限)
◆ 横の共生 空間と時間→情報の認知→意欲と知能(リスク回避と適応能力)
社会系や理系と同様に、文学の分析にもミクロとマクロの研究を想定している。ミクロは、対照言語の専門分野が研究の対象となり、マクロは、一つが地球規模、人文の場合、国地域の比較(東西南北)であり、また一つは、研究のフォーマットのシフトが評価項目となる。フォーマットのシフトとは、Tの逆さの認知科学の定規を縦横に崩して、縦に言語の認知、横に情報の認知を取るLのフォーマットへ移行することであり、購読脳(受容)と執筆脳(共生)の活動を考察の対象にする。
花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること(適応障害)-ナディン・ゴーディマ」より