川端康成の『雪国』から見えてくるシナジーのメタファーとは1


1 シナジーのメタファー

 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロの分析方法である。基本のパターンは、縦が購読脳で横が執筆脳となるLのイメージを作り、各場面をLに読みながらデータベースを作成して全体を組の集合体にし、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探していく。
 これまでに考案しているシナジーのメタファーは、「トーマス・マンとファジィ」、「魯迅とカオス」、「森鴎外と感情」そして「ナディン・ゴーディマと意欲」である。それぞれの作家が執筆している時の脳の活動として文体を取り上げ、とりわけ、問題解決の場面を分析の対象にする。今回は、川端康成(1899-1972)の「雪国」(1948)を題材にし、購読脳の「無と創造」及び執筆脳とする「目的達成型の認知発達」について考察する。
 シナジーのメタファーの作り方については、花村(2018)の中で詳しく説明している。その中で執筆脳の定義は、作者が自身で書いているという事実並びに作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読みとした。つまり、この小論では、定番の読みと組みになる川端の「雪国」執筆時の脳の活動がリレーショナルデータベースを通した分析から目的達成型の認知発達に届けばよい。

花村(2018)「川端康成の『雪国』から見えてくるシナジーのメタファーとは」より


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