トーマス・マンとファジィ5


 ファジィ集合は、古典的な集合論の拡張であり、「若い」、「大きい」 などの言語上の変数によって表記される。また、「とても」、「ほとんど」、「かなり」といったいわゆる修飾語によっても変化することがある。例 えば、「背の大きい人達」という集合を考えてみよう。ここでは、言語の変数「大きい」が問題となる。「魔の山」において、Joachim Ziemßenは、 Hans Castorpよりも「背の大きい人達」という集合に属することになる。しかし、Joachim Ziemßenは、どの程度この集合の特徴を満たしているのであろうか。これを測るために、メンバーシップ値とメンバーシップ関数が存在する。(μA (x) = 0.7)これは、Xが集合Aに対して0.7のメンバーシップ値を持っていることを表している。

花村嘉英(2005)「計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より


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