イディオム-モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ21


 そのため、固定要素に量化とか修飾が可能なイディオムは、個々の構成要素(Fettnäpfchenとtreten)に転用される意味を割り当てて、それらの意味を構成的に結びつけるように処理していく。

(k) Sie muß in jedes diplomatische Fettnäpfchen treten. (彼女は、外交面でくだらないことをいって嫌われるに違いない。)

(l) ln welches Fettnäpfchen wird sie diesmal treten?(今回、彼女はどういうくだらないことをいうのであろうか。)

(m) Sie läßt kein Fettnäpfchen aus.(彼女は、油の入った鉢を取り除かない。

 Pollard and Sag (1994)は、修飾語の分析に関連し、関係詞節の主要部がSELR (Subject Extraction Lexical Rule)*により空の出力となる例を上げている(解説14も参照すること)。

 数量詞[3]は、関係詞節においてVPレベルで検索される。つまり、数量詞[3]は、上位のレベルで検索することができない。それは、上図の上位のレベルでは、CONTENT値がpsoaというよりもむしろnpro (nonpronominal)になるためである。それ故、空の関係詞節に対応するCONTENT[5]は、Rʼ、RP、上位のNʼおよび根のNP (noun phrase)と共有になる。但し、意味の原理(解説4)は、遵守しなければならない。意味の主要部は、主要部の娘(head−daughter:H)または付加語の娘(adjunct−daughter:A)のどちらかとして示される。

花村嘉英(2022)「イディオム-モンタギュー文法からGPSGそしてHPSGへ」より

シナジーのメタファー1


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