シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-森鴎外「佐橋甚五郎」1


1 論文の方向性-Lのストーリー

 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることを現状のレベルでまとめている。今後、統計処理など研究の技葉がさらに増えていくように日々精進していきたい。この小論では森鴎外(1862-1922)の「佐橋甚五郎」を題材にする。

 私のテキストの分析は、シナジーのメタファーを考察することである。最初に受容と共生からなるLのストーリーを作成し、次にそれを反映するリレーショナルデータベースについて分析していく。
 基本的に、「山椒大夫」(1914)と同じ方法で、「佐橋甚五郎」(1913)について見ていくことにする。すでに見たように、鴎外の執筆時の脳の活動を感情として、「鴎外と感情」というシナジーのメタファーを作成している。「山椒大夫」と「佐橋甚五郎」の違いは、前者が誘発の強い情動(外から内)で、後者が創発の強い情動(内から外)というところにある。

花村嘉英(2019)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-森鴎外」より


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